特集 とことん深めるライフストーリー 職業編
身体所見から仕事を妄想しよう
歯の摩耗,欠損,舌などの状態から仕事を考える
松本 朋弘
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 総合診療部門
pp.1124-1128
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023090020
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はじめに
「目は口ほどに物を言う」とは,「目は口以上にその人の感情を表す」という意味のことわ ざだが,本稿では「口は目ほどに物を言う」というClinical Pearlとしてお届けしたいと思う. 皆さんはご自身の歯の本数はご存じだろうか? 舌の色調はどんな色だろうか? 唇や口 角の性状はどうなっているのが正常なのか? など,自分の口に思いを馳せてみたことはあ るだろうか.口腔は,消化器,呼吸器の入り口であり,ヒトが生命活動を行うための空気 の交換から,水分,栄養素の取り込みを行ううえでも口腔を必ず通過する.したがって 日々の生活の影響が顕著に反映される.また口腔内は粘膜組織でおおわれており,2日程 度でturn overすることが知られている.そういった特徴から「口腔は全身を映す鏡」とも いわれている.本稿によって,日々の診療で口腔内を観察することがルーティン化し,か つ患者の生活背景を理解する一助となることを願っている.
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