特集 発達障害×慢性疾患
コラム
マンガが描くニューロダイバーシティ
小林 聡幸
1
1自治医科大学 精神医学講座
pp.989-991
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023080018
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ニューロダイバーシティ
神経発達症/発達障害が発達の問題である以上,誰しもが発達途上で類似の状態を呈して いるはずである.筆者は3歳のころ,自宅前を通る車の車種がみな言えたらしい.特定の 対象への強い関心,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の特徴である. その後,車に興味はない.小学校では忘れ物王であったから,注意欠如多動症(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)である.親から運動音痴といわれるような発達性 協調運動症でもある.筆者の娘の幼稚園の参観日に行ってみると,保育士さんの紙芝居を 熱心に聞いているのはうちの娘と隣家のユウヤ君だけで,あとはみな座っておれぬ多動症 だった.その娘も集中力は高いのだが,ほかへの注意が行き届かなくなる.ついこの間も, いい歳して電車を乗り間違えて反対方向の終点まで行っていた. 発達症はいくつかの特徴を束ねてASD,ADHDなどといわれるわけだが,その個々の 特徴はひとつの特質であって,症/障害(disorder)といわれない人たち,つまり健常/定 型発達の人たちにも結構備わっている.そしてそれは必ずしもネガティブなものでもない. 価値判断を交えずに表現すると,こうした特性は神経多様性(ニューロダイバーシティ)と いうことになる.とすると,それは症状であり障害であるとともに,能力でもある.
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