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終末期の定義
厚生労働省は,終末期を「人生の最終段階」と呼び,人生の最終段階における医療・ケ アの決定プロセスに関するガイドライン(平成30年)の中で以下のように定義している1).
“人生の最終段階には,がんの末期のように,予後が数日から長くとも2~3 ヵ月と予測 ができる場合,慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合,脳血管疾患の後遺症 や老衰など数ヵ月から数年にかけ死を迎える場合”があり,“どのような状態が人生の最終 段階かは,本人の状態を踏まえて,医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事 柄”としている.
つまり,終末期の判断は現場に委ねられており,ここでは「治癒不可能な重篤な病気が 進行し,Cureを目指すことができなくなり,近い将来死に至るかもしれない」状態2)と定 義して議論を進める.
Lunneyらによれば,高齢患者が死に至るパターンは以下の4つに大別されるとしてい る(図1)3).
1. 突然死:機能は良好であるにもかかわらず急性経過で死に至る(くも膜下出血,急性心筋梗 塞,など).
2. がん:進行がんであっても,死の2 ~ 3 ヵ月前までは機能が保たれていることが多く,その 後比較的すみやかに機能が低下し死に至る.予後予測ツールも複数存在し,経過の推定が比 較的容易である.
3. 臓器不全:心不全やCOPD のように,増悪寛解を繰り返しながら,数ヵ月から数年単位で 機能低下し死に至る.ただし,最後まで治療法が残っている場合も多いうえに,それ自体が 症状緩和につながることから,積極的医療介入が終末期にも行われる傾向がある.
4.フレイル:老衰や神経難病などのように,数年以上の単位で緩徐に機能低下し死に至る.
このうち,いつが終末期かがわかりにくいのが,臓器不全である.
ここで,令和3 年の日本の主な死因の構成割合を図2に示す.死因の1 位,2 位がそれ ぞれ,がんと心疾患である点はこれまでと変わらないが,3位には脳血管疾患に代わり老 衰が上がってきている.年代別に見ると,90 代以上は老衰が死因の第1 位であり,がん は3位以下となる一方,心疾患は常に2位を占めている4).
リウマチ・膠原病はそれ自体が死因にはあがって来ず,その合併症で臓器不全などをき たすことが死因になっていると考えられる.
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