特集 困ったときの2の手,3の手 今こそ知りたい漢方・鍼灸
使える! 漢方・鍼灸
精神症状編
精神症状に使える漢方─long COVID─
宮内 倫也
1
1可知記念病院 精神科
pp.60-63
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2023010009
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本稿執筆時点(2022年9月)で,COVID -19の制御は世界的に難しい状況にある.現在は軽症例の割合が高いといわれるものの絶対的な感染者数が多いため,重症者数や死亡者数もそれなりに増えてしまう. さらに問題となっているのがlong COVIDと呼ばれている病態である.経過する期間に統一された定義はないが,NICEやCDCはCOVID -19の急性期後4週間以上経過してから出現する/遷延する症状としている.最近の研究では,SARS-CoV-2の感染によって嗅覚神経組織で炎症が持続し,嗅球を介して中枢神経にその影響が及ぶようである1).そして,その影響とは,大脳白質においてミクログリアの活性化や炎症性サイトカインの産生が起こり,海馬の神経新生が障害されること,という報告もある2).
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