連載
腫瘍薬学ハイライト エピジェネティクス関連酵素を標的とした抗がん薬の開発
川西 正祐
1
1鈴鹿医療科学大学
pp.1326-1327
発行日 2023年6月5日
Published Date 2023/6/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023070031
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エピジェネティクスとは,DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現調節機構あるいはその機構に関する学問領域のことである.がんの発症や悪性化には,DNA塩基配列の変化のみならずエピジェネティクスの変化も関与する.代表的なエピジェネティクスの変化として,クロマチンにおけるヒストンのアセチル化とメチル化などの修飾およびDNAのメチル化がある.
がん細胞において認められるエピジェネティクス異常は,DNA塩基配列の変化を伴わないため,可逆的であり,がん治療の有望な標的になりうると考えられおり,分子標的治療薬の開発研究が活発に行われている. 造血器がんに対しては,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)やヒストンメチル基転移酵素(EZH2)といったエピジェネティクス関連酵素の阻害薬が治療効果を示している.
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