腫瘍薬学ハイライト スタチンはがん予防・治療薬になりうるか

ドラッグ・リポジショニング（既存薬再開発）とは，既存薬から別の薬効を見出す方法である．例えば，抗がん薬でない薬の大規模スクリーニングにより約50種に抗がん作用が認められたと報告されている（Nature Cancer, 235, 2020）．

解熱鎮痛薬であるアスピリンは抗血栓薬としても広く使われているが，それを長期服用した患者の疫学調査では大腸がんをはじめ種々のがんの発生の減少がみられた．米国では条件付きでがん予防薬として承認されている．糖尿病薬としてよく使われているメトホルミンは，乳がん，子宮頸がん，肝がん，膵臓がんなどの発生を減少させることが報告されている．