連載
腫瘍薬学ハイライト がんワクチンの開発の現状と展望
川西 正祐
1
1鈴鹿医療科学大学
pp.2064-2065
発行日 2023年11月5日
Published Date 2023/11/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023120025
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がん免疫療法とは
がん免疫療法とは,免疫細胞を利用する治療法である.手術療法,化学療法,放射線療法に続く,がん治療の第4の柱として免疫療法への期待が高まっている.免疫チェックポイント阻害薬は分子標的薬としても分類されるが,免疫療法の一種でもある.さらにがん免疫療法として注目されているのが遺伝子を改変したT細胞を用いたCAR-T細胞療法である.
がんワクチンもがん免疫療法の一つで,がん細胞を認識する抗原を患者に投与することにより,がん特異的免疫応答を患者体内に誘導または増幅することを目的とする.その結果として,がん増殖・転移・再発の抑制,生存期間の延長などが期待されている.
がん治療用ワクチンで用いられるワクチン抗原の形態は多様であるが,有望なものとして,ペプチドワクチン,mRNAワクチンおよび樹状細胞ワクチンなどがある.これらのワクチンのうち,樹状細胞ワクチンであるシプリューセル-Tのみが,米国で承認されているが,他のワクチンの開発も急速に発展している.
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