薬語図鑑-基礎薬学用語を現場で使える知識に訳してみました 第2部 臨床現場で見聞きする用語編
中毒
97 薬用炭
-中毒治療における薬用炭の使い方とは?
榎屋 友幸
1
1鈴鹿医療科学大学薬学部医薬品情報学研究室 准教授
pp.812-813
発行日 2023年3月31日
Published Date 2023/3/31
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023040155
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薬用炭による薬毒物の吸収阻害
薬用炭は,医薬品としての品質基準を満たした活性炭であり,多孔質炭素です.薬用炭の表面には通常の活性炭と同じようにいろいろなサイズの穴が開いており(図),その穴に医薬品を含む化学物質を吸着することが知られています.薬用炭は経口で投与した場合,体内に吸収されることはなく,すべて便中に排泄されます.したがって,急性薬物中毒の患者に薬用炭を経口投与することで,まだ腸管から吸収されていない薬物を吸着し吸収を抑制することができます.そのため急性薬物中毒の治療に用いられます.理論的によく吸収されると考えられる薬毒物の特徴は,分子量が100 ~ 1,000 程度の非イオン型の塩や疎水性の化合物です.
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