連載 当世 問はずがたり
炭まみれ一握のダイヤモンド
石黒 達昌
pp.1209
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200084
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この夏,子供たちと,噂の3Dドラえもんを観に行きました。前評判通り,よくできた作品に仕上がっていて,ドラえもんのエピソードをつまみ食い的につなぎ合わせながら,その主題を鮮明に浮かび上がらせた点は,冗長なアイデアからどう短編小説を書き上げていくかといった小説作法にも一脈通じるところがありました。もっとも,今回,一番考えさせられたのは,のび太君の人物像についてです。どこかに飛びぬけた才能があるわけではなく,かといって努力家でもなく,ドラえもんに助けられるダメ人間が,のび太君の設定です。
ただ,今回の作品では,そのダメ人間のび太君が,人間として最も重要なやさしさやおもいやりに溢れている素晴らしい人間だという点が強調されます。これを観た子供たちは,勉強ができなくても,スポーツができなくても,素晴らしい人間になれるのだというメッセージをもらうのかもしれません。
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