特集 ここが変わった! 関節リウマチの治療
リウマチ患者さんの「困った!」「大丈夫?」に対処する② 治療はいつまで続くの?患者さんに治療目標と治療原則を伝える
平田 信太郎
1
1広島大学病院 リウマチ・膠原病科
pp.403-407
発行日 2023年3月5日
Published Date 2023/3/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023030015
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関節リウマチ(RA)は全身の諸関節に炎症を来す自己免疫疾患である.炎症病態の主座は関節内および腱鞘に分布する滑膜組織にあり,朝のこわばりおよび多発性かつ対称性の関節痛・関節腫脹を来す.発症早期より骨および軟骨に対する破壊が始まり,炎症が制御されずに遷延すると関節破壊,関節変形を呈し,機能障害が進行する.
RAは関節機能の廃絶と慢性炎症の遷延による二次的臓器合併症により,高頻度に寝たきりに陥り,生命予後不良となる難治性疾患の代表であった.しかし,今世紀に入り薬物治療の劇的な進歩を迎え,多くの症例で長期にわたり良好な日常生活動作(ADL)を保つことが可能となった.現在の薬物療法の中心はメトトレキサート(MTX)と分子標的薬〔生物学的製剤(bDMARDs)および分子標的型合成抗リウマチ薬(tsDMARDs)〕であり,これらを用いた積極的治療によって,臨床的寛解への導入と関節破壊の阻止が現実的な治療目標となっている.しかし,現在に至ってもなお原因不明であり,治癒困難で継続的な治療が必要なことに変わりはない.
本稿では,RAの治療目標と治療原則について概説し,継続的な治療の重要性に関するエビデンスとRA患者に対する説明のヒントについて述べる.
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