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関節痛などの筋骨格系の症状では,以下に示す症状の詳細や随伴症状を問診で明らかにすることで,診断に必要な情報のほとんどが得られるといわれている.
問診の最大の目標は,患者が訴える症状を正確に理解することである.例えば,「指が痛い,手がこわばる」という主訴の患者が来院したとする.評価の第一段階は,その患者が本当に関節痛をもつかどうかを見きわめることである.初診時,患者は場合によっては症状をうまく表現できず,よく聞けば「手が腫れぼったい」「握りにくい」「しびれる」など,その訴えは一様ではない.もちろん関節リウマチ(RA)の場合もあるが,冷感刺激で起こるレイノー現象によるものであったり,頸椎の疾患による神経根症状や,手根管症候群に伴うしびれ,糖尿病に伴う手掌屈筋腱炎,あるいは変形性関節症であったりもする.「あちこちが痛い」という主訴でいくつもの病院を転々としたが診断がつかず,最終的に甲状腺機能低下症や線維筋痛症であった,という症例もときどき経験する.
真に「疼痛」であった場合は,それが①関節痛(関節型)なのか,②関節周囲の問題(腱・靭帯・滑液包・筋肉・骨などの非関節型)なのか,③神経痛や放散痛なのかが次に問題となる.必ず患者に疼痛部位を指差してもらい,その部位を詳細に診察する.このとき,解剖学的知識が必要になってくる.
関節型と非関節型の疼痛を見分けるポイントとして,関節型の疼痛をもつ患者では,疼痛は関節に限局し,自動ないし他動運動により痛みが増強される.一方,非関節型の疼痛,例えば腱鞘炎や滑液包炎であれば,圧痛などの他覚所見が関節周囲の傷害部位で認められ,痛みは自動(能動)運動で増強するが他動運動では増強しないことが多い.次に,診断において重要な問診のポイントを紹介する.
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