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生殖に影響の少ない治療薬の登場により,関節リウマチ(RA)の治療中でも,妊娠・出産は可能である.ただし,疾患活動性を十分コントロールすることが重要である.
以前は,RA患者(特に女性)に対し,以下の理由から妊娠を制限するような指導が行われていた.
①妊娠中はRAの疾患活動性が低下するが,出産後に悪化すること
②多くの抗リウマチ薬が妊婦に対して禁忌扱いであったこと
③高疾患活動性のRA合併妊婦は妊娠合併症(妊娠高血圧症候群など)のリスクが高く,出生児も子宮内発育不全・早産低出生体重児などのリスクが高くなること
④通常,妊娠中はRAの疾患活動性が低下するが,高疾患活動性のまま妊娠すると妊娠中の改善率が低下すること
⑤生物学的製剤がない時代は低疾患活動性・寛解の維持が困難な症例が多かったこと
また,高疾患活動性のRA患者では妊孕性自体が低下することが知られている1).
しかし,2018年に厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠,出産を考えた治療指針の作成」研究班より,『全身性エリテマトーデス(SLE),関節リウマチ(RA),若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠,出産を考えた治療指針』2)が発刊されると,その内容に従って,いくつかの薬剤の添付文書が有益性投与(治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与)に変更された.現在の『関節リウマチ診療ガイドライン2020』には「関節リウマチ治療と妊娠・出産」の項が設けられており,上記に従うかたちで「Q1.生殖年齢女性において抗リウマチ薬はどのように使用するか?」「Q2.男性RA患者のパートナーが妊娠を望む場合,抗リウマチ薬はどのように使用するか?」「Q3.産後の女性において抗リウマチ薬はどのように使用するか」に関して記載されている1).
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