Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
目的
青年期の親性準備性の概念分析を行い、概念に関する文献や資料に集積された知見を統合し、定義する。その上で青年期の親性準備性を高めるための方策と課題を考察する。
方法
Walker&Avant(2005)の概念分析法を用いた。データ収集には医学中央雑誌他のデータベースを使用し、検索用語は「親性準備性」とした。計15件を分析対象とした。
結果
「青年期の親性準備性」の概念分析を行った結果、次のことがいえる。
1.「青年期の親性準備性」は、「子どもの特性・成長発達を知る、乳幼児への好意感情の高まり、妊娠・出産・育児への関心や肯定的認識、性役割を受容することで、発達段階上から、近い将来に親になろうとしている年齢段階、すなわち青年期から本人またはパートナーが妊娠するまでの期間において、段階的に形成される親としての役割を果たすための資質」と定義する。親としての役割を果たすための資質だけでなく、親とならない場合であっても、次世代の再生産と育成(誕生と健やかな発達)を支援する社会の一員として備えていくべき資質も含まれている。
2.「親性準備性」の一面を明記する属性として1)親としての資質の形成過程、2)育児行動のための心理、行動、身体的準備状態、3)親行動の獲得、準備性、4)親となるための予期的社会化、5)子育て支援する社会の一員としての役割を果たす、の5カテゴリーが抽出された。
3.先行要件として1)子どもに関するもの、2)子育てに関するもの、3)親になることに関するもの、4)親子関係に関するもの、5)セクシュアリティー・ジェンダーに関するもの(自分の性の受容)、6)安定した性役割観と性役割の受容、7)子どもとの接触体験に関するもの、の7カテゴリーが抽出された。
4.「青年期の親性準備性」を得た結果、短期的には、1)子どもの理解を深めることができる、2)乳幼児への興味・関心・好意感情を高めることができる、3)妊娠・出産・育児を肯定的に認識できる、長期的には、4)将来親の役割を果たす、5)生涯発達的な視野から子育てを支援する社会の一員としての役割を果たす。
結論
「青年期の親性準備性」の定義は、親性準備性を高めるための支援の構築に有用であるが、高める方法、評価指標の検討が課題である。青年期の発達課題である「親性」育成を援助する上で、「親性準備性」は重要な概念であり、今後、看護、教育、地域活動に応用して検証していく必要がある。
Copyright © 2018, The Japan Maternal and Infant Caring Association All rights reserved.