特集 都市のプライマリ・ケア—「見えにくい」を「見えやすく」
【セクション2】実践! 都市のプライマリ・ケア—4つの現場から
@臨床
❶社会から周縁化された複雑なケースを診る—marginalized populationのケア
吉田 絵理子
1
1川崎協同病院 総合診療科
キーワード:
marginalized population
,
SDH
,
頻回受診
,
社会的孤立
,
ケアコーディネーション
Keyword:
marginalized population
,
SDH
,
頻回受診
,
社会的孤立
,
ケアコーディネーション
pp.901-904
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204392
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社会から周縁化された人々、たとえばホームレス状態の人、精神疾患を有する人、経済的に困難のある人、障害がある人、移民や難民、LGBTQ(lesbian,gay,bisexual,transgender,queer,questioning)などの人々は、さまざまな場面において社会から疎外され、健康格差にさらされたり、医療アクセスが制限されることがある。筆者の働く川崎協同病院(以下、当院)のある川崎市南部の地域は、生活保護受給率が5%を超え、また外国籍の人が4%を超えており、多様性が豊かであるのと同時に、経済的に厳しい状況に置かれている人が多い。社会から孤立して暮らしている人を診療する機会が多く、病院の救急外来への受診を契機に福祉・介護につながるケースもあり、医療機関は社会的なリソースの窓口としての役割があると感じている。
しかし、周縁化され複雑な背景を持つ患者に、適切な医療やサービスを提供することは時に容易ではない。水本らは、プライマリ・ケア医はSDHへの取り組みを期待されることに誇りを持つ一方で、サポートが不足している環境ではSDHに取り組むよう勧告されることを理不尽で煩わしいと感じていると報告している1)。
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