Japanese
English
特集2「高齢者の服薬管理」
高齢者における多剤併用のアセスメント
Assessment for Polypharmacy in the Elderly
伊東 弘樹
1
Hiroki Ito
1
1大分大学医学部附属病院薬剤部
1Department of Clinical Pharmacy Oita University Hospital
pp.36-40
発行日 2018年7月31日
Published Date 2018/7/31
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1.はじめに
わが国の高齢化は著しく,「団塊の世代」が2015年には65歳以上となり,2016年には,総人口における割合(高齢化率)は27.3%となった.また,総人口が減少するなかで,高齢者が増加することによって,2065年には高齢化率は38.4%に達し,約2.6人に1人が65歳以上の高齢者になることが推計されている.この高齢化を裏づけるように,2011年度に実施された全国健康保険協会の調査で,65歳以上の加入者のうち約25%が糖尿病,約15%が高血圧で,複数の医療機関を受診していると報告されている.このように,高齢者は,糖尿病や高血圧症といった慢性疾患を抱えていることが多く,特に同一疾患で複数の医療機関から投薬されているケースでは,多剤併用にもなりやすい.Kojimaらは,急性期病院の入院患者のデータ解析で,6剤以上の服用で薬物有害事象の発現が増加する(図1)と報告した(2012a,2012b).つまり,本来の疾病の治療過程において薬物有害事象が発現することは,患者のQOLを低下させるのみでなく,治療の追加で医療費の増加をもたらすことになる.
このような状況下で,高齢者の薬物療法を適切に行うためには,看護職・介護職においても,医薬品の基本的事項を正しく理解しておく必要がある.そこで本稿では,医薬品情報の収集方法,後発医薬品使用における注意事項,基本的な薬物動態,服薬アドヒアランスについて詳述し,今後の看護師・薬剤師の協働によるチーム医療の実践について概説する.
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