老人看護専門看護師による「調整」活動

“Adjustment” Activity by Certified Nurse Specialist in Gerontological Nursing

１．はじめに

　2016年に開催された日本老年看護学会第21回学術集会において老人看護専門看護師（以下，GCNS）の活動を報告することとなり，われわれは専門看護師の6つの役割のひとつである「調整（コーディネーション）」を担当した．「調整」は，「必要なケアが円滑に行われるために，保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行うこと」（日本看護協会）とされている．われわれは，改めてGCNSが「調整」を行う際に大切にすることはなにかを考え，以下の2点を学術集会でポスターにまとめて報告した．

　①高齢者の望む生活，豊かな人生の実現のために，病や老いにより生活の場が変化しても，高齢者とその家族の価値観を大切にして必要なケアの質が保たれるよう，1人ひとりの高齢者が個別的な生活を送ることを軸において，関わるすべての人も満足するように調整を行う．

　②高齢者が輝かしい生活を送るために，高齢者と家族だけでなく，多職種チーム，組織・地域の特徴や支援・サービス体制をアセスメントする．そして，保健医療福祉に携わる人々がそれぞれの役割から意見を出し合ったなかで，同じ方向に向かって円滑にケアが継続できるように意見をまとめ，高齢者にとっての最善の環境調整を行い，多面的に支援する．

　本稿では実際にGCNSが経験した事例を踏まえて述べたい．