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日本老年看護学会第20回学術集会特集 教育講演1
地域のなかの医療・看護と社会的合意形成
Medicine and Care in Local Communities and Social Consensus Building
桑子 敏雄
1
Toshio Kuwako
1
1東京工業大学大学院社会理工学研究科
1Graduate School of Decision Science and Technology, Tokyo Institute of Technology
pp.9-14
発行日 2016年1月31日
Published Date 2016/1/31
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- Abstract 文献概要
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1.はじめに
本稿では,医療・看護とは,行為のひとつであるということ,すなわち看護行為という行為であることについて考察を進めてみたい.
医療・看護も行為である.行為であるから,行為一般の構造をとらえるためのアプローチを考案し,これを医療・看護に当てはめてみることは,問題の考察にひとつの方向を示すことになるであろう.さらに,医療・看護は,国家的な制度,地域社会,病院,自宅という空間的な制約の下にある行為である.したがって,行為を空間性においてとらえることは,高齢化社会の医療・看護の考察に役立つ.また,医療行為は,人の人生にかかわる行為であり,誕生から死にいたるサイフサイクルに関係する.したがって,時間性の観点についても考慮しなければならない.
人間の行為を空間と時間の観点から考察するための枠組みとして,筆者は,3つの「トライアングル」構造を提案したい.すなわち,「所与・遭遇・選択のトライアングル」と「理念・制度・意思決定のトライアングル」と「空間・時間・人の価値構造のトライアングル」である.
本稿では,この3つのトライアングルによって,高齢化社会における医療・看護という行為の構造,あるいは,医療・看護を受ける側の選択の構造の理解を進めてみたい.
さらに,3つのトライアングルを基礎に行った社会的実践の例として,新潟県佐渡市福浦地区の地域づくり支援を通じて,高齢化社会における医療・看護の問題に対するヒントを提案したい.
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