日本老年看護学会第16回学術集会特集 教育講演
資格制度のなかの看護師─認知症ケア専門士
堀内 ふき
1
1佐久大学看護学部看護学科
pp.13-17
発行日 2011年11月30日
Published Date 2011/11/30
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はじめに
わが国における高齢化率の高まりは,取りも直さず,認知症高齢者の増加を示している.これに対し,さまざまな方面において,認知症の治療やケアに対する教育,人材育成が急務だといわれている.2008年には「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」の報告書(厚生労働省,2008)が示され,認知症対策が国民全体における重要課題となっている.
また,認知症に対する治療やケアの方法は,対象へのアプローチから,さまざまに事例を重ねたり,医学や心理・社会学などの知識を活用しながら,エビデンスを蓄積してきている.
そして,認知症ケアは,在宅で家族によって行われる介護か,施設入所による施設介護かというような二者択一の考え方から,在宅と施設,さらには広く地域の人々を巻き込む地域ケアへと考え方が進み,地域全体でケアを行うことが重要となってくる.
認知症の人の数の増加は,だれもがケアの受け手となり得ることを示しており,地域全体のだれもが認知症ケアの方法を知り,だれもがケアできる,ということが重要になる.
そこで,今回は「資格制度のなかの看護師;認知症ケア専門士」をテーマに,看護師が認知症ケアにどのようにかかわっているかを考えるため,基礎教育における学習,認知症介護研究・研修センターにおける教育を述べたうえで,日本認知症ケア学会が認定する「認知症ケア専門士」制度を中心に,資格制度のなかで看護師が果たしている状況を紹介したい.
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