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日本老年看護学会第14回学術集会特集 シンポジウム「認知症ケアにおける臨床の知」
認知症ケアにロマンとユーモアを
For Dementia Care Romance and Humor
大久保 幸積
1
1社会福祉法人幸清会
pp.29-33
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
はじめに
1985年に認知症高齢者が集まって生活する「幸豊ハイツ」という特養を開設して,24年が経過した.開設のきっかけは,認知症の利用者がニコニコして3〜4人で会話しているので,聞き耳を立てたら,バラバラの会話をしている.「にもかかわらず」表情が穏やかで,笑いがある.
他の人の居室に入って,「泥棒」と呼ばれたり,ここには「気違いがいる」と言われることも少なくない.いつもは険しい表情なのに,にもかかわらず,笑顔がある.今日は,ちぐはぐな会話をお互いが楽しんでいる.
高齢者福祉・介護の職場,あるいは職種は,いわゆる3K職場と言われることがある.その労働環境や業務内容が「きつい(Kitsui)」「汚い(Kitanai)」「危険(Kiken)」であることを意味する.確かに一理ある.しかし,見方,考え方によって変えることができるのではないか.例えば,「蛙と馬」の騙し絵がある.一見すると蛙に見える絵が,90°向きを変えて見ると,馬に見える.絵そのものは何も変わらない.見方を変えただけである.仕事も,考え方を変えると3Kは,「感動(Kandou)」「感謝(Kansha)」「感心(Kanshin)」となる.仕事に対する考え方によって,仕事は楽しくもなるし,つまらなくもなる.
さて,老年看護学会の学術集会のシンポジストとして報告させていただく機会を得たので,認知症ケアの現場実践を通して学んだ「ロマンとユーモア」について述べたい.
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