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1.認知症高齢者の急性期医療現場での現状
平成20年簡易生命表によると,男の平均寿命は79.29年,女の平均寿命は86.05年と前年と比較して男は0.10年,女は0.06年上回っている(厚生労働省,2009a).このように日本の高齢化は年々進んでいる.認知症高齢者は2005年には169万人,2015年には250万人になると推測され(厚生労働省,2008),高齢化とともに認知症高齢者が増加することが考えられる.若年性認知症者数は全国で3.78万人であり,18〜64歳人口における人口10万人あたり47.6人である(厚生労働省,2009b).今後,認知症の臨床診断が進めば,必然的に認知症を有する人が多くなると予測できると同時に,医療機関を訪れる認知症を有する人が多くなると考えられる.
急性期病院では,Diagnosis Procedure Combination(診断群分類別包括制度;以下,DPCとする)が導入され在院日数の短縮が進められており,患者は入院と同時に検査や治療が開始され,2週間以内には退院するというめまぐるしい速さで動いている.認知症を有する人は,現状を認識することが困難,あるいは時間を要するため,このような現在の急性期病院の現状では,不適応を起こす大きな要因となり,Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(認知症の行動・心理症状;以下,BPSDとする)やせん妄の発生や遷延を引き起こしていることは少なくない.認知症を有する人が入院した場合には,これらを念頭におきながら,情報収集,アセスメントを十分に行う必要があるが,入院日数の短縮により全体的な業務量や情報処理も増加することになっており,医療者は疲弊している(井出ら,2008).このような現状では,急性期病院において認知症看護が十分にできないことが想像できる.
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