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平成18年4月からの新介護保険制度として始まった療養通所介護事業さくらの責任者である当間麻子氏からは,訪問看護ステーションとして厚生労働省老人保健事業推進等補助金対象のモデル事業として行った経過から,今回介護保険制度の対象となった現在の状況について説明があった.紹介された療養通所介護サービス利用者は,がん末期で,人工呼吸器をつけている等医療ニーズが高く,さらにADL自立度が低い者であったことから,サービスを提供する看護職の力量とその負担度について質問と意見交換が行われた.療養通所サービス利用者の医療ニーズが多様であること,要介護度が重く個別ケアが必要なこと,さらに利用時間3〜8時間以外の経過についても的確な判断が求められることから,担当する看護師の負担が大きい.そこで関連する医療法人が経営する医療機関の看護職を含めた配置を行い,また病児保育ができる保育園を併設して非常勤看護師を雇用し看護師の質と人数を確保している.通所介護は個室が確保され,利用者および家族のメリットは多いと思うが,介護保険制度の報酬で経営的に問題はないかということに対して,関連施設がなければ単独では経営は困難とのことであった.
平成18年4月からの新介護保険制度として始まった地域包括支援センターの運営は8割の市町村が他機関に委嘱しているが,東京都北区では直接区が運営しているということで,その内容について保健師小宮山恵美氏から説明があった.地域包括支援センターを委嘱するか市町村が直営するかは,従来からさまざまな意見があったが,会場でも質問があり意見交換した.北区が直接運営しているメリットとしては,保健師,社会福祉士等の人材が確保できること,住民のニーズを直接区が把握できること,地域にある社会資源を直接ネットワーク化できることである.このセンターを中心に保健師は介護予防事業を展開できるので,これからの保健師の活躍の場として重要であり,行政機関における保健師の役割が提示できると述べていた.
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