日本老年看護学会第9回学術集会特集 シンポジウムⅡ
その人にとっての環境を考える
六角 僚子
1
1茨城キリスト教大学看護学部
pp.40-44
発行日 2005年3月15日
Published Date 2005/3/15
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- 文献概要
1.普通の暮らしを継続する環境支援
私たちは自分の住まいをもち,地域の習慣や決まりを守りながら,そこに住む人々と協力し合って生活をしている.私たちが関わる高齢者も同様である.そこで私たちは,病院や施設への「入院」「入所」を「引っ越し」と考え,ごく普通の生活空間や環境づくりのための援助を行うことが重要となってくる.
さて,環境とはいろいろな意味をもった言葉で,空気や水,地域や住居,自分自身の周囲というように,さまざまなとらえ方がある.それらを私たちは生活の中でうまく調整して過ごそうと努力している.しかし療養生活を強いられている高齢者には,このようなごく普通の生活環境が提供されているとは言い難い.入浴は日中,食事は決められた時間帯,買い物は売店などと限られた環境の中で過ごしていることが少なくない.これは病院や施設に限らず,自宅であっても同様といえる.
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