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Ⅰ はじめに
精神障がい者注1)の早期社会復帰は、社会の重要な課題であり国は2012年までに7万人の社会的入院患者の退院を目標としている。今後医療・保健面で関わる看護師は退院をめざしたケアの提供を、今まで以上に意識をすることが必要になってくる。
しかし、その将来を担う看護学生は、日常の生活において精神障がい者と接することは非常に少なく、精神看護実習で初めて障がい者に出会う学生にとって、その不安感・恐怖感は強い傾向がある。それらのネガティブなイメージを少しでも軽減し、精神障がい者の生活をどのように援助していくかを具体化できるように、机上での学習と臨地実習をつなげていくことは精神看護学教育において重要である。看護学生が抱く精神障がい者のイメージについては過去さまざまな研究がされてきた。村井ら(2002)は、精神看護実習前後で看護学生が抱く精神障がい者のイメージ変化を調査し、実習後にはより具体的なものへと変化していることを明らかにし、学生は実習を通して精神障がい者の全体を意識できるようになったという効果を述べるなど、実習を行なうことで精神障がい者のイメージが良いものへと変わる報告が多い。また、嶺岸ら(2000)は、実習期間の長さと精神障がい者のイメージの関連について、1週間の実習よりは2週間の実習のほうが否定的なイメージは弱まっていることを研究の一部で述べている。このように実際にケアを行なう臨地実習で学生が抱く精神障がい者のイメージについては先行研究が述べるとおり、ポジティブに変化することが多い。しかし、精神看護学の講義を教授している途中の段階で精神科病院の見学を行ない、かつ学生が精神障がい者と接する時間の長さとイメージの関係やその効果を論じている研究はほとんどない。
本研究は、看護学生への精神科病院見学実習において、精神障がい者と関わる時間の長さ(半日と1日)の違いでどのような精神障がい者のイメージに差異があるのかを明らかにし、今後の講義と実習のあり方、そして精神看護学教育への示唆を得ることを目的とした。
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