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Ⅰ.はじめに
わが国では超高齢社会の進展にともない,がん治療を受ける高齢頭頸部がん患者も増加している1).頭頸部には摂食や嚥下といった栄養摂取に関わる重要な臓器があり,形態温存や機能保持に優れた化学放射線療法(ChemoRadioTherapy:以下,CRT)を選択する場合がある2).頭頸部がんへのCRT による口腔粘膜炎の発症頻度は,97%と報告3)されている.また,腺細胞の障害による唾液腺障害4)のほか,開口障害5)や旨味受容体(T1R3)発現減少による味覚障害6),嗅覚障害7),血球減少による口腔カンジダ症などの口腔内感染8),粘膜炎にともなう疼痛を引き起こす.特に味覚障害は,食思不振を誘発し食事摂取量を減少させ低栄養状態をもたらし有害事象の回復を遅延させるといった悪循環を生じる.さらに高齢者では,加齢性変化による唾液分泌量の減少や味覚障害9),オーラルフレイル10)が報告されており,有害事象が重症化する可能性がある.以上のことから,加齢性変化のある高齢者では,CRT を受けることによって有害事象が重症化することが予測されるため,高齢頭頸部がん患者の口腔内有害事象の早期発見,早期介入に寄与する口腔内評価ツールは重要である.
臨床においては,口腔内評価ツールとして声,嚥下,口唇,舌,唾液,粘膜,歯肉,歯と義歯の8項目で構成されたEilers Oral Assessment Guide(以下,EOAG)11)が活用されているが,頭頸部へのCRT による有害事象を観察する専用ツールではなく,味覚障害や開口障害を観察する項目がない.そこで,筆者らはCRT による口腔内有害事象に対するプロトコルを検討した研究において,EOAG に加え,有害事象の評価に有効だと考えられる項目についての示唆を得た12).それをもとに,口腔内評価ツールプロトタイプ(以下,プロトタイプ)を作成し,頭頸部外科病棟において入院加療中の高齢頭頸部がん患者を対象に運用したところ,量的分析から開口障害,味覚障害,嗅覚障害,口腔内感染,疼痛に関する評価について有用性が高いことが確認された13).そこで,本プロトタイプをより精錬するため,ユーザビリティ調査を行い,看護師がプロトタイプによる観察をどのように評価しているか,さらに評価により実施された看護実践とは何かについて明らかにしたい.
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