資料
ターミナル期にあるがん患者の自己決定を支援する看護研究の概観と今後の研究課題—対象文献を和文献に限定して
八尋 陽子
1
,
秋元 典子
2
Yoko Yahiro
1
1福岡県立大学看護学部
2岡山大学保健学研究科
1Faculty of Nursing, Fukuoka Prefectural University
キーワード:
ターミナル期がん患者
,
自己決定
,
看護研究
,
文献概観
,
和文献
,
terminal cancer patients
,
self-determination
,
nursing research
,
literature review
,
Japanese literature
Keyword:
ターミナル期がん患者
,
自己決定
,
看護研究
,
文献概観
,
和文献
,
terminal cancer patients
,
self-determination
,
nursing research
,
literature review
,
Japanese literature
pp.69-74
発行日 2010年5月25日
Published Date 2010/5/25
- 販売していません
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
Ⅰ.はじめに
人間は,最期まで自律した存在として生きていくことを求める.自律した存在とは,自分を管理する能力のもとに,自己の価値観や信念で自分の行為を選択・決定し,実行し,その責任を果たすことができることをいう1).したがって,人が自律した存在として生きていくには,その人の自己決定と,それにしたがって生きていくこととが尊重されなければならない2).
ターミナル期にあるがん患者は,痛みなどの不快な身体症状により,自己決定通りに自分で自分の身の回りのことを遂行しにくくなる.あるいは,考えるエネルギーすら奪われ自己決定そのものがしづらい状態におかれやすい.また,たとえ自己決定できたとしても患者と家族,医療者間での意見の不一致により患者の自己決定が守られない3)こともある.
看護者は,患者の最も身近に居て24時間の日常生活を支援する者である.したがって,ターミナル期にあるがん患者の自己決定,すなわち患者が自分で決定すること,および自己決定にしたがって実際に生活することの2つを支援することは看護者の重要な役割のひとつである4).
本研究の目的は,1999〜2008年の過去10年間に日本国内で報告されたターミナル期にあるがん患者の自己決定を支援する看護研究について,文献件数,研究デザインおよび研究内容の観点から概観し,今後の研究課題を明らかにすることである.
Copyright © 2010, Japanese Society of Cancer Nursing All rights reserved.