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Ⅰ.緒言
喉頭癌や咽頭癌などの治療として行われる喉頭摘出術によって、声帯摘出に伴う発声機能の喪失、新たな気管孔を造設することによる外観の変化、呼吸経路の変化などが生じ、喉頭摘出者はそれまでと同じような生活を送ることが困難になる。喉頭摘出者からはこんなことになるくらいなら手術をしない方がよかったとか、発声法を習得することは医療者からの説明とは違ってとんでもない大変なことだったという言葉が聞かれることもある。喉頭摘出が当事者に与える影響は大きく、喉頭摘出者が自己概念を再構成し、生活を再構築していくためには想像以上の困難と努力を要する1)〜5)。
喉頭摘出者のようになんらかの問題や課題を抱えている本人や家族が仲間同士で支え合う、自助・共助を軸としたグループのことをセルフヘルプ・グループと言う6),7)。保健・医療・福祉が施設収容から在宅処遇へと変革する中で、個別化された多様なニーズに対応するために、様々な社会資源を活用することが必要となってきた。そこで、有効な社会資源として注目されてきたのがセルフヘルプ・グループで、その数は年々増加している。セルフヘルプ・グループには、同じ問題を抱えるもの同士だからこそできる、ピア・カウンセリングの担い手、ケアマネジメントの一員、家族や友人の中で行われてきた社会的には行き届きにくいサービスの担い手であることが期待されている8)。また、セルフヘルプ・グループが低コストの社会資源であることもその魅力の一つである9)。実際、セルフヘルプ・グループはさまざまな活動をとおして当事者や家族を支えている。それは喉頭摘出者においても例外ではない。現時点で国内には60の喉頭摘出者のセルフヘルプ・グループが存在しており、それらのグループが開催する食道発声教室において代用音声の獲得の支援だけではなく、生活の自立に向けた支援や情緒的支援が行われている1),10)〜14)。
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