患声患語
喉頭摘出者でも発声はできる
山田 次郎
1
1社団法人銀鈴会事務局
pp.200-203
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917192
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発病から手術へ
喉頭がんなどのために喉頭摘出の手術を受けると,そのとたんに声帯もろとも発声機能を完全に喪失して声はウーもスーも出なくなる.手術を受ける直前まではかれ声ながらも,ものが言えていたのに突然に声を失ってしまう.このショックは言語に絶するものがある.声を失うことによって将来の社会生活は暗たんたるものとなり,失意落胆はその極に達する.自然と社会からは後退し隔絶されて,自らも孤独感にとらわれ,人に会うことを避けるようになり,苦悩と煩悶の日々を過ごす状態となる.
また困ることには,この種の病気が壮年者以上の高年者,特に一家の支柱をなしている人々に多いことである.職業によっては声が出なくなったためにたちまち生業を失うという致命的な打撃を受けることもある,生業を失い家族の生計に困窮を来して悲惨な状態に陥ることもある.
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