Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
わが国のリンパ浮腫患者は2004年現在,国内患者数12万人ともいわれ1),リンパドレナージや圧迫療法などの複合物理療法(complex decongestivephysiotherapy:CDP)が臨床に取り入れられてきた.リンパドレナージの手技は,習得は難しいが徒手のみで行える利便さや,柔らかな手技を利用してのリラクゼーション,疼痛緩和目的などでも行われている.しかし,リンパドレナージに関するケアの効果実証研究は,国内において2005年現在で多くない2)〜8).各施設なりのケア方法が行われている状況9)10)から,どのようにリンパ浮腫患者をケアしたらよいのか,身体に与える影響など,エビデンスのあるケアの研究が急務と考える.
そこで,CDPの実践状況を,がんセンターを含む全国413施設にアンケート調査9)すると,CDP実践群は70(30.4%)で具体的には患肢の挙上,間歇式空気ポンプ,弾性ストッキング・スリーブなどであった.さらに,患肢の挙上の現状調査11)では“効果はないが気持ちがいいから挙げて寝る”“むくみが移動して性器浮腫になった”などと,必ずしも挙げることが効果的ではない状況も明らかになった.加えて「挙上の高さ」に関する文献検討(医学中央雑誌Web;文献検索年1999〜2004年,およびリンパ浮腫関連書籍)では,①高さの記載があるもの12)〜15),②高さの記載がないもの16)〜18),③心臓の高さを推奨するもの19),④運動を推奨するもの20)21)の4つに分けられた.高さは10〜30cmの幅があった.しかし,何故これらの高さがリンパ浮腫軽減に効果的なのかという根拠を明らかにしたものはなかった.そこで臨床で行われているリンパ浮腫ケアの患肢の挙上とリンパドレナージの排液効果の検証を行うためのパイロットスタディとして,本年度は健常者を対象とし,①下肢挙上の効果的な高さを検証する,②①で明らかになった高さとリンパドレナージを組み合わせた排液効果を検証することを目的とした.
Copyright © 2008, Japanese Society of Cancer Nursing All rights reserved.