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研究報告
造血細胞レシピエントの移植後療養生活に関する情報提供の施設間差
Differences in Educational Pamphlets about Daily Living after Allogeneic Hematopoietic Cell Transplantation between Transplantation Centers in Japan
人見 貴子
1
,
田中 真琴
1
,
佐藤 栄子
1
,
数間 恵子
1
Takako Hitomi
1
,
Makoto Tanaka
1
,
Eiko Sato
1
,
Keiko Kazuma
1
1東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 成人看護学分野
1Department of Adult Nursing, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
pp.47-51
発行日 2008年12月25日
Published Date 2008/12/25
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- Abstract 文献概要
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Ⅰ.はじめに
同種造血細胞移植(以下,移植)のレシピエントは,大量化学療法や放射線療法による晩期障害,免疫機能不全と感染症,あるいはgraft-versus-hostdisease(以下,GVHD)などにより,移植後も長期にわたってさまざまな身体症状を呈する1)〜3).これらの身体的な条件によって,レシピエントには活動制限や環境調整が必要とされる.また,退院後のレシピエントは変化した生活を辛いと感じる場合や4),移植前に抱いていた回復への期待と移植後の現実との差異に心理的ダメージを受ける場合がある5).
療養生活を送るにあたっては,こうした問題を未然に防ぎ,あるいは軽減するための対処をレシピエント自身が主体的に行うことが求められる.こうした主体性を養うためには対処能力向上への支援が不可欠であり6),退院指導などの患者教育をあらかじめ施すことで,対処能力の向上や不安の低減がみられることが明らかにされている7).
しかし,わが国では,移植後の療養生活に関する情報提供の指針となるものが示されておらず,各施設がそれぞれの経験に基づき,移植後の生活や心身の状態への対処として理論的に推奨される行動や知識について情報提供しているというのが現状である8)9).したがって,情報提供の内容の量および質における差が存在する可能性がある.そこで本研究では,おもに退院指導として全国の主要な移植施設でレシピエントに提供されている情報に施設間差が存在するか,存在するとすれば,それはどのような差であるのかを明らかにすることを目的とした.
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