扉
ベッドの高さから見た医療
林 實
1
1福井医科大学脳神経外科
pp.987-988
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900158
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暫く体調を崩して入院することがあり,ベッドに横たわった視点から医療の現場を観察し,考える機会を得た.そして今まで頭の中では理解していたつもりでいたが実感として分からなかった「患者」の立場を体験することになった.
まずベッドに病人として横たわってみると立って話しかけてくる医師は患者を見おろしている位置になる.その上最近の大型診断機器による画像を見せられて,断定的に病気の説明をされたりするとそれだけでも相当の威圧感を受ける.それはまさに医師は「絶対」であり患者は「弱者」の関係に近い.さらに若い医師達について感じたのであるが,彼らのちょっとした言葉の端々に感じられる患者に対する思いやりのない不用意さが気になってくる.最近の若い人の一部には人と人との関係を作るのが苦手で,したがって患者に希望を持たせるようにうまく話の出来ない人がいるように思う.
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