Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
Ⅰ.はじめに
化学療法による薬物有害反応を良好にコントロールできる薬剤の開発に伴い,外来通院で治療を継続しながら療養生活を行う在宅患者が増加している1).この変化は,患者にとって高いQOLが維持されるという利点がある反面,従来は入院しながら医療者の援助を得て解決していた問題に対し,患者と家族が自らの力で対処しなければならない現実をもたらしている.
なかでも,消化器がんは化学療法の効果が明確でないがん種として分類され,治癒を目指すのではなく,延命や症状緩和,QOLの向上を目的に,進行・再発がんに対して実施される場合が多い2).さらに消化器がん患者は,抗がん剤投与前に行われた手術による後遺症や機能障害,抗がん剤投与による倦怠感や悪心・嘔吐などの薬物有害反応など,多くの身体的問題を抱えている.同時に,死の恐怖や治療効果に対する不安など,心理的な問題も多く抱えている3).
このような患者の家族,特に配偶者は,人生の中で最も重いストレスを感じると評価されている配偶者の死に対する予期悲嘆を抱えながら,患者に対しては心身両面へのケアを提供し,苦痛や苦悩を抱えている4).一方で,家庭という誰にも遠慮のいらない環境の中で,夫あるいは妻の話し相手になって情緒的なケアを提供したり,身の回りの世話などの身体的なケアを提供することで,限られた時間を夫婦が親密感をもって過ごせたり,十分なケアができたという満足感が得られる可能性がある.実際,海外では在宅でがん患者を看取った家族に肯定的な側面(positive aspect)がみられることが報告されている5).しかしわが国では,外来で化学療法を受ける進行がん患者の配偶者が知覚している困難や肯定感について調査したものはみられない.これらを明らかにすることにより,配偶者が置かれている状況が明らかになり,看護師が外来において患者や家族をどのように支援すべきかについて示唆が得られると考えた.
Copyright © 2007, Japanese Society of Cancer Nursing All rights reserved.