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研究報告
伝えていない真実のあるがん患者とその配偶者のコミュニケーション
Communication with the Spouse and the Cancer Patient not Told the Truth
池田 久乃
1
Hisano Ikeda
1
1高知県・高知市病院組合立高知市民病院
1Department of Nursing, Kochi Municipal Hospital
pp.36-45
発行日 2004年7月20日
Published Date 2004/7/20
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
要旨
本研究の目的は,[伝えていない真実があるがん患者]の配偶者について,①対象者が認識している自分と患者が持っている情報の違い,②その状況下でどのような情報が共有できていないのか,③情報が共有できない中で行うコミュニケーションにおいて用いられる手法,を明らかすることである.がんで配偶者を亡くされた方で,患者に病名や病状について伝えなかった真実があると認識している方を対象に,インタビューにより情報を収集し,質的に分析を行った.
その結果,[伝えていない真実があるがん患者]の配偶者は,「真実で患者と共有できる情報」,「真実だが患者には伝えない情報」,「真実ではないが患者が持っている情報」を明確に区別をして認識していた.「真実だが患者には伝えない情報」の中には,「患者が気づいているだろうと予測する情報」があるにもかかわらず,それはあくまでも共有できない情報としてコミュニケーションを行っていた.そして「患者からの情報を受け取らない」「患者からの情報に平静を保って合わせる」「患者の持っている情報に限定して情報を発信する」「話題にしない」「あえて聞かない」「他者を間に立てる」などの手法を用いて,共有できない情報をコントロールしながら,患者とのコミュニケーションを維持しようとしていた.
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