第30回日本看護科学学会学術集会 指定交流集会Ⅳ
アビュース(abuse)と看護
友田 尋子
1
,
岸 恵美子
2
,
木下 千鶴
3
1甲南女子大学看護リハビリテーション学部
2帝京大学医療技術学部看護学科
3杏林大学医学部付属病院
pp.106-108
発行日 2011年6月20日
Published Date 2011/6/20
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- 文献概要
親密なパートナーからの暴力(IPV)とForensic Nursing
友田尋子(甲南女子大学看護リハビリテーション学部)
IPV
共同で生活する場,最も安全の感覚が満たされるはずの空間で親密な間柄で起こる暴力がIPVである.法は家庭に入らずとし痴話喧嘩扱いされてきた長い歴史を経てIPVの実相が明らかになった.暴力に被害者は自分の言動や感情を反省したり逃げ出す機会を失ったり無力感に陥ったり幻想を抱いたり自己破綻し,遂に逃げられない暴力の構造に絡め取られていく.逃げることのできない被害者に対し「逃げないあなたが悪い」と社会は非難する場合が多く被害の実態は周知の理解になっていない.加害者はたまたま殴ったではなく親密な関係の私的な場における支配─被支配の権力関係を悪用したものであり,背景に男女の社会的不平等の問題がある.社会のあり様は力の持つ者が自己の情緒的な問題を自分で処理できないとき,立場を利用して力を持たない者に暴力を振るうことを容認する.IPVを生み出す社会的・文化的・経済的要因を追究し,それらを根底から変える施策が緊急にとられなければ解決方法はないほど,この問題は社会構造と深く関与している.
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