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日本看護診断学会第2回学術大会報告 実践にいかす看護診断
【会長講演】
健康維持・増進における看護診断―助産診断の視点から
Nursing Diagnosis in Health Maintenance and Health Promotion: From the Viewpoint of Midwifery Diagnosis
青木 康子
1
Yasuko Aoki
1
1川崎市立看護短期大学
1Kawasaki City College of Nursing
pp.36-43
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100404
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職業を考察する視点の1つである技術的側面での専門職の特徴は,診断と治療の技術を備えていることといわれている.江戸時代にその職業的確立がなされた助産婦は,明治32年の産婆規則によって法的な裏づけも得,専門職としての位置づけを明確にしてきた.昭和30年代までは自宅分娩が多く,開業助産婦中心の活動がなされ,助産診断は助産婦の日常業務そのものであった.施設内分娩が多くなるにつれ,勤務助産婦の行う助産診断は分娩時に偏っている現状にある.最近の看護診断ブームと助産婦教育課程の改正によって,改めて助産診断が論議されている.助産診断は,いわゆるウエルネス型の看護診断であり,「助産婦が責任をもって扱うことのできる,性・生殖にかかわる健康生活上の顕在あるいは潜在する発達課題や問題の表現であり,助産婦の実践活動の根拠となる理論過程である」と定義することができる.助産診断の範囲は,マタニティサイクル,ライフサイクル,ファミリーサイクルにわたるが,妊娠や分娩などの経過診断に比べ,対象の経過に応じた健康生活の診断については,診断類型も診断の記述もこれからの課題になっている.アメリカでもウエルネス型の看護診断の開発は遅れているときいている.健康の維持・増進にかかわる看護診断は,助産診断をはじめ,産業保健や学校保健の領域にも及ぶものであり,これを機にウエルネス型の看護診断をいろいろな場で開発されることを期待したい.
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