フォーラム
雑誌『健康増進』を読み解く
金田 英子
1
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学
pp.702-703
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101639
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昭和2年1月,大日本国民健康増進会から『健康増進』という雑誌が発刊された(写真).80余年前,昭和初期に唱えられたこの「健康増進」と,平成14年に健康増進法が公布され今でこそ確立したかのように見える現代の「健康増進」の目指すところは,同じだったのであろうか.この創刊号に着目して吟味してみたい.
『健康増進』誌が発刊された当時は,まさに日本が海外に進出しようという時代であった.表紙にも見られる「世界」を力強く持ち上げる青年の姿,日本ではなくアジアを中心に見据えた構図.極めて象徴的である.当時は,富国強兵策を強化するため「国民全体の身体」として個々人の身体の国民共有化思想が広められていた.男にとっては戦うための健康であり,女にとっては産むための健康であった.さらには子どもや老人も健康であることに努め,家庭内に疾病を広めないことに重きが置かれていた.
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