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はじめに
看護はその焦点を人間の全人性におき,健康の増進,ウエルビーイングの回復を目指し,ケアがなされる.ナースによるケアを最も多く必要としているのは,多くの場合,患者の精神面である.精神の苦痛を生み出す原因となる要素は多様であるが,そのなかには,生きる意味の欠如,喪失体験,断裂などがある.本学術大会では到達目標の1つとして,看護実践はどのようにして,人間の精神の強靱さとウエルビーイングを増進させることができるかということについて考えることを目指した.
大会開催準備がおおむね整った3月11日,それは大会開催の3か月前のことであった.前触れもなく,大地震と大津波が東日本を襲い,日本の社会状況が不安と絶望,深い悲しみへと一変した.学会では,このような状況のなかで大会を開催するべきかどうか,または延期すべきかなど,多様な側面からの長時間にわたる検討がなされた.そのすえ,日程は変更せず,開催場所を神戸国際会議場に変更して開催という苦渋の決断がなされた.
いま,看護は何をするべきか,何ができるのか,ともに学び考え前進することも加味して,開催されることになった.急な会場の変更にもかかわらず,ご理解と惜しみないご協力をくださった関係者の皆様,そして,参加者の皆様に,この場を借りて心より感謝を申し上げたい.
さて,前置きが長くなったが,講演内容は「スピリチュアルニーズをもつ人への看護診断-介入―全人的アセスメント・看護診断・介入能力を高めるために」とさせていただいた.多くの方から「スピリチュアリティ」という用語はわかりにくいとのご意見をいただくことがある.まず,導入として,スピリチュアリティやその関連用語について,文献レビューから紹介する.
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