日本看護診断学会第13回学術大会報告 看護の専門性を活かす看護診断
【教育講演】
慢性期看護学領域における看護診断の活用
江川 隆子
1
Takako Egawa
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
1Kyoto University
pp.84-88
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100281
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はじめに
われわれ看護師は,患者に提供する看護の質の向上を究極の目的とし,適切でより効率的に看護ケア〔看護治療を含む〕を提供することに日夜努力を続けている.この考え方は,どの看護領域においても同様である.
現在,日本では類を見ない高齢化に伴い,慢性疾患患者(または習慣病)の増加が報告されている.その代表的な疾患である糖尿病患者数は,7,410万人,境界型を含めると1,620万人と推定されている〔厚生労働省,1998~2003年〕.また,足壊疽の有病率は0.5%から1.6%の増加〔厚生労働省,1998~2003年〕,さらに透析導入患者の増加率は高く,2005年の導入数は3万5,000人に達しており,そのうち2万人は糖尿病性腎症であることも報告されている〔2005年日本透析医学学会統計〕.こうした糖尿病患者を含め,慢性疾患患者の多くは,その治療や疾患に起因して生じる合併症によって著しく患者のQOLを低下させることも知られている.
一方,厚生労働省が発表した国民医療費の概況によると,特に糖尿病の医療費は1兆1,700億円を超えており,20年後にはさらに2兆円を超えるという予測もある.このことは,糖尿病を含めた慢性疾患の予防や治療,さらにはその合併症の予防などとともに国民的問題となっている.
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