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はじめに
看護診断の活用の意義は多くの雑誌や学術大会などで紹介されてきている.
看護診断は1970年代,仕事の効率化のためにコンピュータ化され,医療にもその波は寄せてきている.医学では生命科学をベースに疾患は系統的に整理され,医学診断のために診断指標,定義,治療など,国際的にも疾病大分類がまとめられるなど,西洋医学の発展は系統的に学問としてますます発展してきた.また,薬学や栄養学などでも系統的に整理された学問体系のなかで実践されている.しかし,看護学は学問のベースが生命科学や社会学,心理学など,人間を全体的にとらえアプローチするために,健康問題を軸に系統的に整理し,学問体系を作り出すことは大変困難であった.しかし,NANDA(北米看護診断協会)が中心に看護独自の診断名を糖尿病の事例から洗い出し,系統化しようと試みている.
このことは,これまでにない画期的な作業であり,看護学を学問体系化し,専門家として要求される内容に近づけている.つまり,他の領域の専門家も理解できる活動内容にしている.それは,アプローチの方向性,その根拠が科学的で納得いく内容になってきていることでもある.2000年にニューオーリンズで開催された第1回NANDA,NIC・NOC(看護診断,介入・成果)の学会では,診断から介入・成果までを含む内容が検討された.
このように看護診断が系統的に分類・整理されると,今後,WHOの疾病大分類のなかに看護独自の診断名として取り入れられることも近いと信じている.このことは,看護学が学問として確実に体系化されていっていることを意味している.
わが国においては,看護診断は臨床で早期から取り入れられ活用されているが,教育での取り組みは遅れている.今後看護診断を発展させるためにも,今回は高齢者に焦点を当て,2つの方向性を述べていきたい.
その1つは高齢者の特徴をふまえた看護診断であり,もう1つは高齢者の特徴をふまえた看護に必要なアクティビティ・ケアである.
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