日本看護診断学会第4回学術大会報告 看護診断の発展をめざして
【パネルディスカッション】
オレムのセルフケア不足理論に基づく看護診断過程
渡邉 和子
1
Kazuko Watanabe
1
1東北公済病院
1Tohoku Kosai Hospital
pp.70-72
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100038
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はじめに
オレムのセルフケア不足理論を看護の視点に採用している当院の場合について述べる.当院ではPOS記録方式をとっており,プロブレムの表現としてNANDAの看護診断名を使用し,そのアセスメントプロセスの展開において「オレムのセルフケア不足理論に基づく看護診断過程」のフォーマットを用い,看護診断に統合する.
オレムは,人間は自分で自分のことができるという大前提でセルフケアの概念を打ち出している.また人間が人間らしく生きていくうえで必要なセルフケアに対するニードとそれを満たすための行動をセルフケア要件とし,普遍的セルフケア要件,発達上のセルフケア要件,健康逸脱によるセルフケア要件の3つを挙げている.
さらに,セルフケア不足理論の実践への適用においては,患者に現存あるいは潜在しているセルフケア要件を明確にし,それを修正するための患者の能力や限界をアセスメントする過程をふむ.その際,その人を全体として浮き彫りにし,またセルフケア要件を特徴づける基本的なものを基本的条件づけ要因とし,年齢,性,発達状態,健康状態など,必要とする10の要因を明確にしている.
ここでは,事例の情報により,基本的条件づけ要因を念頭におきながら,各セルフケア要件をアセスメントしたところから述べる.
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