NURSING THEORY 看護理論ってなあに?・35
オレム看護理論を読む[1]—だれでもセルフケアに携わる能力がある
小野寺 杜紀
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.1158-1159
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922144
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ドロセアE.オレムの看護理論は1959年に初めて公にされ,1971年に1冊の本として出版された.その間オレムは,看護教育,看護行政,臨床看護等,背景の異なる11人の看護婦たちと看護開発協議会を組織,その議長を務めた.そこで彼女は,自分の看護理論をより一般化すべく,看護知識の形成に努力した.この長年の努力の結果をふんだんに盛り込み,“Nursing:Concepts of Practice”というタイトルに示されているように,看護実践に真に生かせる看護理論を展開,叙述した第3版は1985年に出版された.その翻訳が1988年9月に出版された『オレム看護論:看護実践における基本概念,第2版』(医学書院)である.
ここで強調したいのは,この版は初版の単なる焼き直しではないという点である.初版では「セルフケア」という考え方を看護界に初めて導入,大きな影響を及ぼした.だが,セルフケアの概要は理解できたが,それを看護実践に照らした場合の具体的叙述はいま1つ分かりにくいということがあったと思われる.しかし今回の版では,その理論がセルフケア不足理論,セルフケア理論,看護システム理論の3つの柱から成り立ち,各々がどのように関連しあっているかが分かりやすく解説されている.以下に概観してみよう.
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