資料
北海道A地区の透析医療スタッフが直面する困難および現任教育における現状と課題
本吉 美也子
1
1上武大学看護学部看護学科
pp.49-57
発行日 2021年8月31日
Published Date 2021/8/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200244
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
I.緒言
高齢化が進むわが国において,厚生労働省(2017)は国民が可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最後まで継続できる包括的支援サービス体制の構築を推進している.しかし,人口減少が進む地方の市町村では病院の統廃合などにより充分な医療サービスを受けられず,都市部とは大きな格差が生じている.総務省(2016)は人口・財政力・規模要件など,一定の要件を満たした市町村を「過疎市町村」として定めており,これらの地域においては病院数・診療所数とも全国平均より圧倒的に少なく,無医地区数は圧倒的に多いことを示している.
このような地域では医療だけではなく,看護を実践する上でも地域格差により様々な困難が生じていることが予想される.過疎地域において看護職が感じている困難や問題に関する調査をみてみると,木下ら(2018)は,このような地域に勤務する看護師は,専門的な治療や処置の限界,高齢者が多いために生じる戸惑い,および庶務的業務の兼任などの問題に直面していることを示している.また山本ら(2018)はこれらの地域で働く看護師は,院内教育システムの未構築,継続教育の目標設定の難しさ,教育時間の不足,研修機会の不足などを課題に感じていることを明らかにしている.
Copyright © 2021, JAPAN ACADEMY OF NEPHROLOGY NURSING. All rights reserved.