第23回日本腎不全看護学会・学術集会 特別講演
エンドオブライフ・ケア—臨床倫理の事例検討法
会田 薫子
1
1東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座
キーワード:
人生の最終段階における医療
,
人生の物語り
,
意思決定支援
,
臨床倫理
,
カンファレンス
Keyword:
人生の最終段階における医療
,
人生の物語り
,
意思決定支援
,
臨床倫理
,
カンファレンス
pp.58-66
発行日 2021年8月31日
Published Date 2021/8/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200245
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「終末期医療」は「ターミナル・ケア」と同様に身体的な末期状態に関する用語であり,かつては汎用されていたが,現在では使用されなくなってきた.代わって導入された「人生の最終段階における医療」は,身体的な状態を踏まえつつ患者の人生の物語り(narrative)の視点から判断する.つまり,医学的な状態は基本情報として重要だが,それのみで判断するのではなく,最期まで本人の尊厳を保持するために,一人ひとりの価値観・人生観・死生観に基づいた「生き方」を重視する.
臨床倫理の役割は,一人ひとりの患者が直面する医療とケアおよび療養場所等の選択に関する意思決定支援にある.患者にとって最善の意思決定に至るよう医療者が支援する際には,医学的な情報を適切に踏まえたうえで,患者の生活と人生の物語りを核として検討すべく患者および家族等と対話する.医師単独ではなく,多職種による医療・ケアチームで対応することによって,患者にとっての最善の選択を多角的に検討することができ,また,適切な家族支援も可能となる.よりよい意思決定支援のあり方を多職種で具体的に検討する方法として,「カンファレンス用ワークシート」を含む「臨床倫理検討シート」が開発されている.
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