第17回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
4.長寿時代のエンドオブライフ・ケア—フレイルの知見を臨床に活かす
会田 薫子
1
1東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座
キーワード:
フレイル
,
frailty
,
身体的フレイル
,
physical frailty
,
臨床フレイル・スケール
,
透析療法
,
エンドオブライフ・ケア
,
高齢者
Keyword:
フレイル
,
frailty
,
身体的フレイル
,
physical frailty
,
臨床フレイル・スケール
,
透析療法
,
エンドオブライフ・ケア
,
高齢者
pp.37-44
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200033
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超高齢社会におけるエンドオブライフ・ケアのあり方を考える際に,高齢者の身体的な加齢変性に関する理解を深めるうえで,フレイルの知見は重要である.フレイルのスクリーニング法が開発され,適切な判断と介入が重要であると指摘されている.フレイルのスクリーニングは介護予防の観点だけでなく,高齢者の人生の最終段階における適切な医療とケアのためにも必要である.フレイルな高齢者においてはストレッサーに対する脆弱性が増しており,投薬や治療行為もストレッサーとなって機能低下を誘発することが示されている.侵襲性が高い医療行為は有害な場合もある.フレイルを緩和ケア開始の指標とすることや,重度のフレイルの場合は緩和ケアのアプローチを基本としたエンドオブライフ・ケアを行うことの意義も報告されている.透析療法が患者に与える身体的な負担を考慮すると,フレイルな高齢者における透析療法の意味がより明らかになると考える.高齢患者の尊厳を損なわず,本人らしい人生の集大成を支援するために,重度のフレイルの高齢者において透析療法を見合わせることは,現在では適切な臨床上の選択肢といえる.
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