【調査報告】
1.血液透析患者の透析中の苦痛の実態と上肢マッサージの効果
神野 かおり
1
1市立御前崎総合病院透析センター
pp.59-65
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200002
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Ⅰ.はじめに
血液透析患者は,透析中に3〜4時間のベッド上安静や穿刺を強いられ,さまざまな苦痛を抱えている.穿刺時の痛みを我慢できた患者も,ベッド上安静とシャント肢の伸展を強いられることで,肩関節や上肢痛を訴える患者がいる.それに加えて,関節へのアミロイド沈着により骨関節痛をきたし,手根幹症候群を発症している患者もいる.患者は主にベッド上で臥床して透析を受けており,シャント肢は動かしてはいけない,曲げてはいけないといった拘束感を抱いていることが多いため,痛くても仕方ないと痛みを半ば諦めている患者,自分から訴えてくることのできない患者がいるのではないかと考えた.また痛みだけではなく,しびれや倦怠感,不安や緊張などが心身の苦痛を悪化させているのではないかと考え,研究に取り組んだ.
我々はこれまで上肢(特にシャント肢),肩の苦痛に対しては,手枕,ビーズ枕,温枕,温ゼリーなどで緩和をはかってきたが,一時的な苦痛の除去となっており,対症療法として行うことしか出来ていなかった.まず,予防段階からの苦痛緩和を心掛けると共に,透析時間を安楽に過ごせるような看護介入と,現状のケアの振り返りを行う必要があると考えた.
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