第15回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
1.透析チーム医療と腎不全看護の矜持
政金 生人
1
1医療法人社団清永会矢吹病院
pp.14-18
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100540
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はじめに
透析医療は高度に専門化された医療の一分野であり,しかも慢性疾患であるから患者とは長く多面的な付き合いとなり,チーム医療が不可欠である.そのなかで看護師はどのような位置づけで,何を目指し,どう動くべきなのか.筆者が医師になったばかりのころは,最前線で患者と向き合っていたのは医師と看護師だけであったように思う.当時の看護師(婦)は,唯一患者と医師をつなぐ橋のような存在であった.時に患者の意思の代弁者でもあり,時に栄養士や薬剤師の代行者でもあり,時に出来の悪い研修医を導く臨床の師でもあった.もちろん当時から薬剤師,栄養士,MSWなどコメディカルも存在したのだが,現在ほどチーム医療の必要性は認識されていなかったように記憶している.
しかし,この20年間に必要とされるようになった医学的な知識・技術は飛躍的に増え,社会や個人の考え方も多様化したため,幅の広い懐の深い対応が求められるようになった.このような状況を医師と看護師だけで乗り切ることは不可能であり,薬剤師,栄養士,MSWなどさまざまな職種によるチーム医療が必要になったのは自然の成り行きであったろう.新たに患者との前線に立った専門職に要求されたミッションは明確である.そのチーム医療にあって,古参の看護師そして医師のミッションは変わっている筈であるが,それに対応できているのであろうか.本稿は,自らを看護師の応援団であると自負する医師の視点で,チーム医療の時代にあるべき腎不全看護の姿を論じてみたい.
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