【調査報告】
3.透析患者のテープ剝離における皮膚刺激軽減への試み―皮膚被膜剤・スプレー式粘着剝離剤を取り入れて
喜瀬 はるみ
1
1松圓会東葛クリニック病院
pp.91-94
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100421
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Ⅰ.はじめに
皮膚は身体の表面を覆う臓器で,体温の調節,身体の保護,排泄,皮膚呼吸など,生命維持に必要な役割を果たしている.また,外界からの異物侵入を防ぎ,太陽光線から保護するなど,バリア機能を担っている.「透析患者は,皮膚の乾燥・発汗の減少・電解質バランスの崩れなど,バリア機能低下をきたしやすい状態にある」1).さらに血液透析という治療では,血液回路固定によるテープ貼付,剝離といった物質的刺激は避けられない.当院では,1回の血液透析治療に血液回路固定として計8枚のテープを貼布,剝離している.そのなかでも「テープ剝離という刺激は,皮膚のバリア機能を担う角質層の損傷,角質細胞剝離を引き起こし,皮膚トラブル発生の大きな要因となっている」2).
これまでテープ剝離による皮膚障害に関し,成人期や手術後の患者,また高齢者を対象とした発生要因・予防ケアなどが報告されているが3),血液透析患者のテープ剝離刺激に関する報告は少ない.そこで,透析患者のテープ剝離による皮膚刺激軽減をはかることにより皮膚トラブル予防ができると考え,調査をした.
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