【実践報告】
1.寒天による透析患者の排便コントロールの工夫
赤津 サトミ
1
,
塩野入 悦子
2
,
仲田 美智子
3
1諏訪赤十字病院
2篠ノ井総合病院
3飯田病院
pp.87-91
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100317
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Ⅰ.はじめに
透析患者の便秘は,主に水分制限,カリウム制限などの食事制限による食物繊維摂取不足をはじめ,さまざまな要因があるといわれている.最近では,リン吸着剤の投与によっても排便コントロールが難しくなるケースも増えてきた.透析患者の半数は便秘の問題をかかえているという報告もあり1),さまざまな角度から研究がなされてきている.しかし,便秘の実態の把握は各施設のなかにとどまっているのが現状である.
今回われわれは,長野県内の11施設を対象に便秘の実態調査を施行した.また,便秘の要因の1つとして挙げられている食物繊維の不足に注目し,食物繊維の豊富な寒天を利用し,排便状況にどのように影響するのか検討を試みた.
寒天は,長野県では郷土の特産品であることから,昔からよく調理に利用され,なじみの深い食材である.食物繊維の含有率は80.9%と食材のなかで一番多く,水溶性,不溶性食物繊維の両方を合わせ持つ食物繊維である.また,寒天は保水力に優れ,便量の増加を促し,便通改善に効果があるといわれている.大正9年の第4改正日本薬局方からは緩下剤として収載されているが,処方の実態は明確でなく,また透析患者にどのような影響があるかは検討されてはいない.しかし,一般健常人および女子学生では,寒天摂取により便通が改善したという報告もある2,3).
そこでわれわれは,水分制限,カリウム制限のある透析患者が寒天を摂取することで,排便状況にどのような変化をきたすのか検討したので報告する.
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