第8回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
2.看護師が行う透析者への心理的支援―看護カウンセリングの視点から
広瀬 寛子
1
1戸田中央総合病院看護カウンセリング室
pp.14-16
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100256
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Ⅰ.透析ケアの特殊性と看護師および患者が陥りやすい心理
透析患者にかかわる看護師は,治癒しない透析患者とその家族に長期にわたって継続的・規則的にかかわり続ける.これは,他の医療にはみられない透析医療の特徴である.近年,透析患者のターミナルケアが取り上げられるようになってきたが,透析看護師は,ターミナル・ステージになる前からその人らしさを十分にわかりながらケアできる立場にある.けれども,長期のかかわりゆえに以下のような危険性も潜む.
透析看護師が陥りやすい心理状態として,「劣等感」,「隷属」,「同情」,「巻き込まれる」,「怒り,患者を見下す」,「支配」,「あきらめから無気力へ」,「馴れ合い」があげられる.透析患者とのかかわりのなかで,看護師は傷つき,疲れる.一方,透析患者は生きていくために透析治療と透析器,そして,それを扱うスタッフに自分の身体を預けるしかない.そのように,身体を依存させることを強いられる一方で,セルフケアをしっかりしなさいよと自立を要求される.患者はまた,検査データの結果などから絶えず評価される.そして,いつの間にか,よい患者と悪い患者に振り分けられている.
透析ケアには以上のような特殊性があり,そこに透析ケアの難しさがある.
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