【調査報告】
1.血液透析患者の食事に関する自己効力感と管理行動の関係
長尾 佳代
1
1元岡山県立大学保健福祉学研究科看護学
pp.75-79
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100122
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要旨
血液透析患者の食事管理の自己効力感と管理感・満足感の程度を知ることにより,患者個々の食事管理行動を予測し,介入するための適切な方法を見出すことができる.また,年齢による違いを知ることは,幅広い透析患者の実態に即した援助を行うための資料となる.
2施設の外来血液透析患者354人を対象に,食事管理の自己効力感(9項目)・食事管理感(10項目)を3件法と食事満足感(1項目)0~10の自己採点による質問票留置法で調査した.分析対象198人は,男性が113人,女性85人,年齢が58.5±11.1歳(平均±標準偏差),透析歴が159.8±90.3か月であった.食事管理の自己効力感は,食事管理感(γ=0.58,p<0.01),食事満足感(γ=0.63,p<0.01),年齢(γ=0.30,p<0.01)と有意な相関があった.年齢による特徴は6群に分け,質問項目ごとに差違を示した.食事管理感は,20~59歳群より60歳以上群が有意に高く,食事満足感は,70~79歳群が高く20~49歳群が低かった.60歳以上の患者は,食事自己効力感と食事管理感・食事満足感が高く認知されていた.20~49歳群はすべてが低く,認知も低かった.
以上のことから,血液透析患者の食事管理の自己効力感は,食事管理感,食事満足感に強い相関があり,いずれも高い平均得点を示していた.また,食事管理の自己効力感の平均得点は,年齢が高くなるにつれて高い傾向にあった.さらに,食事管理感と食事満足感は,60歳以上群が60歳未満群より平均得点が有意に高かった.
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