【事例報告】
クリニックにおける終末期看護―透析中止を選択した一事例を通して
大坪 みはる
1
,
落合 福江
1
,
宇田 有希
2
1医療法人社団湯沢会西部腎クリニック
2眞仁会
pp.83-88
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100089
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はじめに
従来日本の医療は“お任せ医療”であるといわれてきたが,最近では情報開示の傾向が強まり,患者の選択権が拡大しつつある.
1967年に日本で透析医療の臨床応用が始まって以降,透析を拒否する患者がいなかったわけではないが,いったん導入されれば中断することは考えられず,重症となった時点で入院し,治療を継続しながら最期を迎えるのが通常であった.また当初,最期は自宅で看取りたいと希望していた家族も,患者の重症化に伴い,不安や介護疲れから入院させることを希望する例がほとんどであった.
本事例は,死への不安や家族の介護疲れなど,さまざまな局面を迎えながらも「自宅で過ごしたい」,「本人の希望を叶えたい」と常に意思表明し,クリニックでの透析を継続し,最終的には透析を中止して家族との共有時間を優先することを選択した例である.そこで,家族の了解のもとに,透析中止を選択するまでの6か月間の患者・家族の状況を分析し,クリニックにおける終末期看護について考察したので報告する.
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